nishi-exp

PROFILE

関口 徹

小山高専 2008年度 電子制御工学科卒
本科5年次に自由応募での就職活動を行い、Yahoo! JAPANを運営する株式会社ヤフーに就職。
以来、ヤフーでエンジニアとして勤務されている。

年上の学生と同じ土俵で就職活動を行った経験、社会人になってから気づく高専生の強さについてお話を伺った。

高専での経験

ーーまず、なぜ高専に入学されたのでしょうか?

 それを考えたら実はピンと来なくって(笑) はっきりしているのは、中学時代にゲームが結構好きだったのですが、いつか自分で作ってみたいなと思う節があったんですよね。そこでゲームクリエイターになるためにはどうしたらいいのかと考えていた折に中学の進路相談で先生から高専という学校があるという話を聞いたんですよ。確か、それが僕と高専の出会いだった気がします。
 もう一つ、こういう分野に興味を持つきっかけが中学時代にあったのですが、ちょっとしたWebサイトをHTML(Webサイトを作るために必要なプログラミング言語)を使って作成するという授業がありまして。もちろんプログラムなので、当たり前ですが文字しか書かないじゃないですか? でも、自分が思った通りに色を指定できたり、文字の大きさを変えることができたり、文字を動かしたり。それがメチャクチャ面白いと感じたんですよね。もしかしたら、それが始まりなのかもしれません。

ーープログラミングとの出会いがあったわけですね。入学後はどうだったんでしょうか?

 先ほど言ったとおり、ゲームクリエイターになりたいと思って入学したわけですが、ちょっとの間忘れていて。とりあえず授業とかをちゃんと受けることにしたんですよね。ただ、プログラムの授業などはやっぱり好きでした。
 そういえば、アレわかります? 高専生の友・ポケコン。アレでゲームとか作って遊んでいたんですよね。実はポケコンでプログラムを普段から書いていたからこそ身に付いて、今でも役立っている技術があるんですよ。なんだかわかります?

ーーポケコンと言えば、低スペック… 一体なんでしょうか?

 例えばゲームとかを作ると、その低スペックゆえに色々なことを考えないといけないんですよ。特に記憶系は数十kBしかなかったり。データを記録しようとするときに「あ、こんなに大きかったら格納できないぞ」とか思うわけですよ。そこで癖になったのが「いかにポケコンに負担をかけずにプログラムを書くか」、いわば省エネコーディングですよね。ある意味ポケコンを使い続けていたから、より軽く、よりマシンに負担を掛けない、そんなコードを書くことができるようになったのかもしれませんね。今でも仕事で役立っています。

ーーなるほど、より軽快に動作させるための技術ですね。他に高専生活でのエピソードなどはございますか?

 高専時代は学生会に所属していて、他高専の学生と交流したりっていうのが面白かったですね。やっぱり学校が違えば、その学校の独特の文化があるんですよ。それがかなり刺激的でした。最初はちょっと怖かったけど、外に出て色々な人と話すのって面白いと感じるようになったきっかけは学生会活動でしたね。でも同じ高専生なので、どことなく雰囲気で「ああ、やっぱり高専生だなー」とわかっちゃう。それも違った意味で面白かったです。
 それと、4年生のときに印刷機器などを作っている大手メーカーでのインターンシップに参加して、プリンタに組み込むミドルウエアの開発みたいなのをやらせてもらったんですよ。現場にしか無い生の技術と言いますか、学校では学ぶことができない「リアルな」開発であったり、仕事ってどんなものなのかっていうイメージを掴むことができましたね。これが僕の中では刺激的で、社会人になってバリバリ活躍したいという目標ができたきっかけにもなっています。
 あとは5年のときにプロコンに出場したのですが、自分にとっての「プログラム観」みたいなものが変わるきっかけになりましたね。

ーープログラム観、といいますと?

 まず僕が出場したプロコンの競技内容が、単純なボードゲームで2校が対戦するというものだったんですよね。普通、その競技で「勝てるコード」を書くためには、とにかくプログラムを書きまくって、試行錯誤していき、本番で勝てるアルゴリズムを完成させていく…というのが常套手段のように思いがちじゃないですか。しかし僕たちは競技テーマが発表されてから何ヶ月かしてから、初めてプログラムを書き始めたんですよね。それはなぜかというと、僕たちはまず勝つ方法を見つけ出すことが先じゃないかと思ったからなんです。そこで行ったのが、ひたすら紙とペンでそのボードゲームをやりこむことでした。ひたすら紙とペンで単調なボードゲームに真剣になって取り組む。すると、自ずと勝ち方が見えてくるんですよ。「こうすれば確実に勝てる」という方法が見つかるまで、プログラミングは行いませんでした。
 で、先に言った「プログラム観」の意味ですが、やっぱりプログラムってその作業自体が難しくて、何かを行う場合でもプログラムにかかりっきりになることが多いんですよね。プログラムの完成が「目的」になっちゃうんです。そうではなく、プログラミングという行為はあくまで「手段」であり、自分たちが見つけた最適解を上手く適用するためのツールでしかないんですよ。勝利という目的を達成するためには、紙とペンで見つけ出した方法が最も必要なものであり、プログラムはその両者を結びつける手段でしかないんですよ。「目的」と「手段」を履き違えない。それがプロコンで勝つために学んだことですね。こういうアプローチをしたからこそ、僕たちのチームはなかなか良い成績を収めることができました。
 実はこのときのプロコンには前例のないハプニングがありまして。なんと決勝戦で主催側のプログラムが停止するエラーがあり、決勝は後日オンライン上で再試合になったんですよ。すごい場に立ち会ったなあ、と(笑)

就職活動

ーー就職活動について教えて下さい。

 就活に関しては、結構特殊なルートをたどっているような気がします。まず、高専に大量にやってくる学校推薦での就職ではなく、自由応募(大学生と同じ就職スタイル)で会社を決めました。

ーーそれはなぜでしょうか?

 進路について考えるうちにWeb関連の会社に就職したいと思ったんですよね。しかし、学校に来る求人票に目を通しても、Web系の求人が全然無いんですよ。どうしたものかと考えて、あとは自分で探すしか無いなと、自由応募で大学生と同じ土俵で就活を行うことにしました。
 とにかく応募して、まず1社目を受けてみたんですよ。すると会場には大学生はもちろん大学院生がたくさんいて。おそらく20歳くらいであの場にいたのは僕くらいじゃないでしょうか。グループ面接のようなもので彼らのしゃべり方とかを聞いていると、やっぱり意見が具体的に固まっているとか、勉強しました感みたいなものを感じたんですよね。そんな感じで一社目は落ちてしまいました。
 その次に就職試験を受けたのが現在僕が働いているヤフーなんですよ。その時は「ダメで元々」みたいな感覚で受けに行ったのですが、その考えがあって、逆にリラックスできたというか。まず筆記試験に高専の授業でやったことが結構でていたりして。「お!」と思ってしまいましたね。その頃は基本情報技術者試験とかの勉強もしていたので、そのへんがかなり役立ちました。あとは面接などもひと通りあったのですが、うまくいって。結果的にヤフーから内定をもらうことができました。

ーー就活にあたって、なにか感じたことなどはありますか?

 やっぱり1社目を受けたのが慣れになった部分はありますね。そこで就活ってこんな感じかというテンプレートができたので、あとはガンガン攻めればいいかという感じです。あとは、周りの就活生より2歳年下でしたけど、意外と戦えるなと。高専で勉強した部分でも通用するんだ、ということが自信になりましたね。
 そして攻めることの重要性でしょうか。攻めたからこそ、自分がやりたい仕事を実際にすることができている。変にビビらなくてよかったなと思いますね。
 あと、一緒に就活をしていた友人ですごくポジティブな人がいて。就活だと言えば堂々と授業を休むことができる。平日に旅行へ行く気分で就活をする。そういうライトな考え方もありかなーと(笑)

社会人になって

ーーその後社会人になって学んだことなどはありますか?

 まず、同期が全員年上なんですよ。それはもう、めちゃめちゃビビってましたね。彼らはみんな「同期なんだからタメ口でいいよ」って言ってくれるんですけど、僕は全然敬語が抜けなくて。「はい、敬語やめます!」「敬語じゃん!」みたいなやりとりが、よくありましたね(笑)
 あとは新入社員研修みたいなのはどこでもあると思うんですけど、座学で大卒の同期が「ここわかんない」と言っているのを聞いて、こっそり「あ、これは高専で学んだぞ!」みたいに思っていました。ここでも「高専生は意外とやれるな」と感じました。

ーーその後社会人になって学んだことなどはありますか?

 社会に出ると、圧倒的に人と知り合うことが多くなります。そういう経緯から、人との繋がりなどはより意識するようになりましたね。で、社会に出てからお会いする皆さんと話すと、すごく刺激を受けるんですよね。自分の知らないことをすごく良く知っていたりとか。そこから感じるようになったのは、自分も彼らのように他人に刺激を与えられる存在になりたいなということ。それがモチベーションとなって、「もっと勉強しなきゃ!」と思えるわけですね。それに関連して、自分自身をレベルアップさせるためには、いかに多くの人たちと仕事を一緒にできるかだと思うんですよ。彼らから刺激を受けまくり、自分も他人に刺激を与えて。そうすることでいい相互作用が生まれるんだと思います。
 人との繋がりに関して言えば、高専生っていい意味で「変な人」が多いということはみんな思っていると思うんですよ。この「変な人」ネットワークが社会にでてから役立ちましたね。◯◯といえば高専時代の△△が詳しいよなー、聞いてみよう! みたいな。新しい繋がりも大事ですが、高専での繋がりもメチャメチャ大事だと思います。
 あとは、アウトプットが大事になるということですね。高専での生活ってインプットがとても多いじゃないですか。9時から17時くらいまでびっしり授業があって、そこではさっきまで知らなかった新たな知識を得る。それが週5日、さらに5年間も続く。しかし、アウトプットの機会は自分で作らなきゃ、なかなか無いんですよね。アウトプットというと難しく考えがちですが、例えば友人にこの前の授業内容について説明する。それも立派なアウトプットだと思いますね。そんな機会を増やしていけばいいと思います。
 加えて、人に何かをシンプルに伝えることも必要だと思いました。一般論として、他人に自分の知識をわかりやすく・簡潔に説明するためには、自分に説明する内容の3倍もの知識が無いといけないそうです。それなら勉強するしか無いですよね。それもまたモチベーションになってくるわけです。

ーー高専での経験が役にたった経験などはありますか?

 高専で学んだ専門知識って、意外と忘れているようで忘れてなかったりするんですよ。自分が専門にしているWeb系の知識で無くても、いざ勉強しようとすると高専の知識が蘇ってくる。あーこのことかー、みたいな。そういう経験って絶対あると思いますよ。

現役高専生へ

ーー現役高専生に何かあればお願いします。

 何かに興味を持ったとき、ぜひそれを極めてみてください。僕の場合はプログラミングでしたが、なんでもいいと思います。いつかそれが自分の助けになるはずです。
 そして、ぜひぜひ外に出て行ってみてください。最初はビビるかもしれませんが、1回行ったら変わるのでは無いでしょうか。そこで空気に触れるだけでもいいと思います。空気に触れるだけでも、自分にとっての刺激になるのでは無いでしょうか。時には外で凹まされる経験も必要だと思います。それが後々の糧になることは絶対だと思います。
 あとはもちろん、人との繋がりですね。特にコイツなら任せられる、といったような信頼できる友人を見つけることですね。社会に出てからの刺激的な繋がりはもちろん、高専の「変な人」ネットワークも大事にするべきだと思います。それが後々、どう効いてくるかわかりませんからね。
 そしてなにより、高専生活を楽しむことです。卒業式で「高専楽しかったー!」と思えるような高専生活。そんな5年間を過ごしてくださいね。

ーーありがとうございました!

インタビュアー紹介

mihara

三原 基

高専からの就職は、求人情報から選ぶ推薦がほとんどだと思っていましたが、
自ら就職先を切り開くスタイルもあることを初めて知りました。
果敢に攻めて自分の成長の糧にしていくスタイル。
非常にカッコいいと感じてやみません。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>